other · 2026.10.27
三番窓口の呼び出しベルが鳴りやまないまま、私は番号札を握っていた。紙の角が汗でふやけ、指の腹にざらりと貼りつく。窓口の女性は印鑑を探しているらしく、引き出しを開けるたびに桃の甘い匂いが流れてきた。区役所に桃の匂いは似合わない、と思いながらも私は番号札を差し出していた。